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加害者の家族を待つ厳しい現実とは…。東野圭吾著『手紙』あらすじ


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手紙
東野圭吾(著)
文春文庫
発売日:2006/10/05

 

 

 

あらすじ・本内容

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強盗殺人の罪で兄が服役したのは、武島直貴が高校生のときだった。
両親をすでに亡くしていた直貴は一人で生きていこうとするが、彼の人生には「強盗殺人犯の弟」という偏見がついて回る。
一方、兄・剛志は一人になってしまった弟を心配し、獄中から月に一度、手紙を出すが…。

 

本格派ミステリーをはじめ、学園ミステリーやパロディ、エンターテインメントなど、様々な作風で読者を楽しませてくれる東野圭吾さん。多くの受賞作を持つ人気小説家ですが、本書『手紙』も第129回直木賞の候補となっています。

2006年には、山田孝之さん、玉山鉄二さん、沢尻エリカさんら豪華キャストにより映画化。それに合わせて刊行された文庫版は、1ヶ月の売り上げが100万部を超える最速ミリオンセラーとなりました。

 

「殺人犯の弟」となり、変わっていく周囲の環境を描く

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本書の読みどころは、犯罪加害者の家族という視点で書かれていること。
通常、犯罪では被害者と加害者に注目が集まりますが、本作では加害者の家族の悲しい現実を真正面から描き上げています。

進学、恋愛、就職という人生のターニングポイントで、直貴は何度となく「強盗殺人犯の弟」という変えることができない運命を痛感。本書『手紙』では、主人公直貴が自身の家族を持つまでの軌跡が描かれ、罪を犯すとは、家族とは、絆とは、生きる意味とは何かを考えさせられる作品となっています。

発売当初から、直貴が受ける社会の差別に対し、読者からは「知らない間に自分自身も差別の加害者になりうるのだと感じた」という意見が多くあがりました。理不尽な社会が現実にあることを知っているからなのでしょう。

深く重い作品ですが、読後に満足感を得られるのも本書の魅力です。

 

今回ご紹介した書籍
手紙
東野圭吾(著)、文春文庫

⇒「東野圭吾」作品についてもっと知りたい方はこちら

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