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「イヤミスの女王」湊かなえの魅力に迫る!


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「イヤミス」という言葉を知っていますか? 「イヤミス」とは「イヤなミステリー」の略で、読んだ後に後味の悪さが残るミステリー作品を表した言葉です。その後味の悪さが癖になってしまう…という方も多いのでは?

今回は、この「イヤミスの女王」こと湊かなえさんの作品をご紹介します。人間のダークサイドを描き、どんでん返しの結末でなんとも言えない読後感を味わわせてくれます。映画化された作品も多く、今年2016年秋には、「少女」の映画公開も控えています。今大注目の作家、湊かなえさんの作品をぜひチェックしてみてください。

 

「死体を見てみたい」少女二人のとった行動とは?

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少女』(早川書房)

運動神経抜群で、剣道が上手だった敦子。しかし、中学の剣道大会での失敗が原因で、学校裏サイトに悪口が書き込まれるようになります。ショックをうけた敦子は過呼吸を患うようになり、剣道をやめてしまいます。

一方、敦子の幼なじみで同じ桜川高校に通う桜井由紀は、認知症の祖母に暴力を振るわれる日々を送り、感情が表に出なくなってしまいます。

高校生になってから少しぎくしゃくしはじめた二人の間に、転校生の紫織が加わります。紫織は二人に、前の学校で親友の自殺を見たことを話します。

まるで「他の子とは違う」とでも言うような紫織の話をきき、うらやましいと感じる二人。「死体を見てみたい」そんな思いに動かされ、二人は行動を起こします。


たくさんの出来事が徐々に一つに繋がっていき、そしてラストでは一気にすべての伏線が回収されていきます。少女たちの無邪気さと残酷さ、「因果応報」がめぐりめぐっていくストーリーにゾクゾクします。

『少女』(早川書房)

 

娘を教え子に殺された教師の復讐。その行く先とは

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告白』(双葉社)

物語は、中学校教師・森口悠子の告白から始まります。終業式の日のホームルーム、その日限りで退職することになった森口悠子は、ある衝撃的な告白をします。それは、学校のプールで事故死した彼女の娘、愛美のこと。森口は

「愛美は事故で死んだのではなく、このクラスの生徒に殺された」(p.29)

と明かします。そして、その犯人はもう分かっていること、犯人たちにある復讐を仕掛けたことを告げるのです。


各章ごとに、犯人たちそして犯人を取り巻くクラスメートや家族の視点から、事件の真相と森口の仕掛けた復讐のその後が語られていきます。破滅的に進んで行くストーリーと衝撃のラスト。「これぞ湊かなえ!」と言える名作です。

『告白』(双葉社)

 

美人OLが殺された。犯人は同僚の女性か、それとも…

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白ゆき姫殺人事件』(集英社)

<日の出化粧品>に勤めるOL、三木典子は、ある日何者かに殺害されてしまいます。美人で性格も良く、面倒見がよくて後輩にも慕われていた典子。そして典子が殺された日と時を同じくして、同僚の城野美姫も姿を消しました。美姫は典子とは逆に地味なタイプで、事件の犯人ではないかと疑われています。

事件の謎を追うフリーライターの赤星雄治は、城野美姫について、人々に取材を重ねていきます。取材に応じる人々はそれぞれの視点から、城野美姫がどんな人物だったのかを語ります。ある人は美姫について悪く言い、ある人は彼女はそんなことができる人ではないと言い、その人物像はバラバラです。


SNSや赤星の書いた週刊誌の記事を通じ、「犯人」と決めつけられていく城野美姫。「人々の噂話」が暴走していく様がリアルに描かれていきます。そして最後に明かされる事件の真相。彼女は本当に犯人だったのか。意外なラストに驚かされることでしょう。

『白ゆき姫殺人事件』(集英社)

 

「手紙」をめぐる三つの物語

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往復書簡』(幻冬舎)

「十年後の卒業文集」「二十年後の宿題」「十五年後の補習」という3つの短編と、「十五年後の補習」のその後にあたる「一年後の連絡網」から成る短編集です。

収録されている作品はすべて「手紙のやり取り」という形で語られています。

「十年後の卒業文集」は、かつて同じ放送部に所属していた同級生たちの手紙で、顔にケガを負い姿を見せなくなった千秋という人物について語られていきます。

「二十年後の宿題」では、敦史がかつての恩師・竹沢真智子の依頼で、六人の教え子に宛てた封筒を預かり、渡しにいくというストーリー。実はこの六人は二十年前の事故に関係しており、徐々に事故の真相が明らかになっていきます。

「十五年後の補習」は、国際ボランティア隊に参加することになった純一と、その恋人・万里子の手紙。かつて二人に起きた事件とその真相が語られていきます。


解釈のしがいのあるラストで、いつもの湊かなえとはすこし違う読後感を味わえることでしょう。

『往復書簡』(幻冬舎)

 

どんでん返しと意外な展開にハマる!

ダークな世界観と、次々に視点が移り変わり、徐々に真相に迫っていくミステリーとしての小気味よさが湊かなえさんの最大の魅力。とくにラストに「大どんでん返し」が待っていることが多いのが特徴です。一度読めば、きっと湊かなえワールドの虜になってしまうことでしょう。

映像化の難しそうなストーリー展開ながら、映画化やドラマ化をされた作品も多く、映像との親和性も高いようです。

ダークなミステリーが好きな方、映画が好きな方にもおすすめできる作家です。

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ライター

ラッテ
3度の飯より本が好き。興味のおもむくままに、いろいろな分野の本を読んでいます。特によく読むジャンルは、IT、美術、語学、旅行、インテリア、漫画など。本好きが高じて、書店員をしていたこともあります。