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大人は教養が決め手! 教養と向き合うためのおすすめ本5選


知識が豊富とか頭がいいというだけでは「教養がある」とは言われませんよね。
大人になって、なおさら「教養」という言葉から遠ざかってきたような気がします。

そもそも教養ってどういうことなんだろうと思って探してみた5冊。

自分でも「教養」を語るなんて100年早いと自覚しておりますが、謙虚な姿勢で教養と向き合うための本をご紹介します。

 

池上彰
池上彰の教養のススメ』

『池上彰の教養のススメ』
池上彰(著)、日経BP社

教養はリベラルアーツと重ねて使われることが多い言葉です。

テレビでお馴染みの池上彰さんと、3人の東工大リベラルアーツセンターの教授との対談をまとめたのが本書。

教養は「すぐに役に立たない」、「ムダなもの」という論議にはじまり、合理性を追求することの弊害や、実学ではない哲学や文化人類学、生物学がどのように人類、社会に貢献するのかという切り口で各教授が教養の大切さを紐解いていきます。

最後の章と日経ビジネスオンラインの本書に関連する池上彰さんの連載記事のなかで、知の最高峰であるイギリスとアメリカの名門大学のリベラルアーツへの取り組み方が紹介されており、ここに興味をひかれました。

リベラルアーツの源流はどこにあって、その本質はどういうことなのかが掘り下げられ、歴史の重みのなかでトップエリートがリベラルアーツとどう対峙しているのかを知ることができます。

 

ジャレド・ダイアモンド
『銃・病原菌・鉄
13000年にわたる人類史の謎』

『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』
ジャレド・ダイアモンド(著)、倉骨彰(訳)、草思社

1998年にピューリッツアー賞を受賞、全米でテレビ番組が放送されるなど注目され、日本でも2000年に発売された世界的ベストセラーです。

人類の歴史において文明や国家の発展、ひいては権力や富の分配に影響をおよぼし、現在の世界とそれぞれの格差を形作ったのが、地理的条件、環境要因でした。そのことを、生物学者からの視点にとどまらず学際的な幅広い知見から解き明かしています。

新しい知識に触れる楽しさと、それが関連付けられていく時の知的興奮を味わうことのできる、まさに教養を高めてくれる本と言えるのではないでしょうか。

2015年にトマ・ピケティさんの『21世紀の資本』で経済格差の問題が話題となりましたが、本書も格差の根本を考える上で深い洞察を与えてくれます。

 

ユヴァル・ノア・ハラリ
『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』

『サピエンス全史』
ユヴァル・ノア・ハラリ(著)、柴田裕之(訳)、 河出書房新社

ザッカーバーグやビル・ゲイツなど著名人に絶賛されたことで話題となり、日本でも2017年にNHKの番組でも取り上げられた教養本のベストセラー。発行部数は200万部を超え、48カ国で刊行されています。

前に挙げた『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』が環境要因に焦点をあてているのに対し、本書はホモ・サピエンスの種としての競争力の観点から、文明を築き現在に至る人類のあゆみを分析しているのが特徴です。

本書を語る上でのキーワードは「虚構」という言葉だと思います。それが種の保存のための優位性となったことと引き換えに、一人ひとりへの重荷を生み出す結果となっている事実。大多数の人が正しく尊いと信じていることに対して、ほんとうにそうなのかという現実を突きつけられます。

本書で示される、科学技術にとどまらない哲学や宗教にまでおよぶ幅広い知見に、教養を学ぶ重要性を改めて考えさせられる1冊です。

 

ショウペンハウエル
『読書について』

『読書について』
ショウペンハウエル(著)、斎藤忍随(訳)、岩波書店

教養を高めるために読書をするというのは、ごく当たり前の常識的な感覚です。

本書では、読書の質は評価の高い良書(すなわち古典)を血肉にできるほど熟読することであり、多読は時間の無駄と戒めています。

そして「読書は他人にものを考えてもらうこと」だとして、自分で考えることの重要性が説かれており、「必読書◯◯選」などをたよりに読書をした気になっている私には耳の痛い内容でした。

今の時代に合わせた読書法や読書論もたくさんありますが、過去の偉大な哲学者の言葉は時の流れを生き抜いた真理としての重みがあります。

哲学者の書いたものと言っても、ページ数も少なくエッセーとして読むことができ、著者本人がわかりにくい文章を否定していることもあり、読みやすくてためになる本です。

 

九鬼周造
『「いき」の構造
他二編』

『「いき」の構造』
九鬼周造(著)、 岩波書店

戦前のヨーロッパの哲学を学んだ著者が日本文化のすばらしさを論文に著したもので、「いき」という日本人の感性を西洋哲学の手法を使って形にすることに取り組んだ本書は、当時画期的だったと言われ、翻訳されて海外でも広く読まれている作品でもあります。

「いき」には「媚態」「意気地」「諦め」の三要素が必要であるとし、「いき」の周辺にある「上品。下品」「派手、地味」「意気、野暮」「甘味、渋味」などの概念を用いて「いき」を浮き彫りにしています。

江戸時代からの人々の生活に定着している「いき」という美意識。古くからの芸術や文化に表されるものなので、今の時代にあってはどんどん風化していくものなのでしょう。

戦前に書かれた文章ということもあり、難解であることは否めませんが、こういったことを理解できる、知識や 素養 を持つことも教養だと思います。

 

教養は自分のために身につけるもの

教養は他人と差別化を図るために身につけるものではなく、自分自身の現在とこれからを考えるために一生かけて追い求めるものではないでしょうか。

その戒めをもとに、自分で突き詰めて考えることを諦めずに、自分の教養本とじっくり付き合っていきたいものです。

 

今回ご紹介した本

池上彰の教養のススメ』池上彰(著)、日経BP社
銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』ジャレド・ダイアモンド(著)、倉骨彰(訳)、草思社
サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ(著)、柴田裕之(訳)、 河出書房新社
読書について』ショウペンハウエル(著)、斎藤忍随(訳)、岩波書店
「いき」の構造』九鬼周造(著)、 岩波書店

 

池上彰さんがどのように教養を身に付けたのか、知っていますか?

池上さんと佐藤優さんの共書『僕らが毎日やっている最強の読み方』ら、書籍の読み方に焦点を当ててご紹介します!